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※ただし、祝日および当院の休診日は除きます
当科では、全身性の自己免疫疾患である膠原病、リウマチ性疾患の診療を行っています。県内外からの紹介患者様を受け入れ、大学病院の特長である高い専門性と最新の医療機器を駆使し、臨床各科と連携することで、最新の診療を心掛けております。膠原病は病気そのものや、治療により易感染状態になることがありますが、当科では、血液内科・感染免疫診療部と併設されていることもあって、血液疾患治療や免疫不全の患者様への支持療法の経験を十分に活かした積極的な治療を行っております。
膠原病は、下記の「主な診療領域」に示した疾患の集まりです。また、消化器や呼吸器のような特定の臓器疾患とは異なり、全身性の疾患です。発生頻度が稀な疾患も少なくありません。
膠原病の原因の多くは、自己に対する異常な免疫反応によるものです。この異常が、全身で、特に結合組織を中心に起こることを特徴としています。症状としては、発熱、関節痛、関節のこわばり、手指の腫脹、全身倦怠感、レイノー現象、皮疹、口腔乾燥など様々な症状が見られます。
このように全身に様々な症状が出現することや、発生頻度が稀なことから、一般に膠原病は診断や治療が難しいことがあります。しかしながら、膠原病は正確に診断し、適切に治療すれば、多くの患者様で症状は改善され、発症前に近い生活が可能です。
近年の膠原病領域の進歩は著しく、特に関節リウマチでは診断法や治療法が飛躍的に向上しました。診断の面では、診察や血液検査に加えて、MRIやエコーなど画像検査を組み合わせることで早期に正確に診断することができるようになりました。治療の面では、生物学的製剤やJAK阻害剤が登場してから、治療成績が画期的に進歩し、今まで不治とされていましたが、治癒も期待できるようになりました。事実、関節リウマチの治療は「care(療養)」から「cure(治癒)」へと進んできたと言われています。また、最近ではIgG4関連疾患や自己炎症症候群など新しい疾患概念も登場しています。治療の面でも、肺高圧症治療薬や新たな分子標的薬の登場など、治療が進歩しています。
膠原病の代表的な治療法にはステロイド療法や免疫抑制療法などがあります。一方で、その副作用もよく知られておりますが、現在は副作用対策が進歩して、より安全に治療を受けられるようになってきています。
◇関節リウマチ ◇悪性関節リウマチ ◇全身性エリテマトーデス ◇全身性強皮症 ◇多発性筋炎・皮膚筋炎 ◇混合性結合組織病 ◇オーバーラップ症候群 ◇抗リン脂質抗体症候群 ◇シェーグレン症候群 ◇IgG4関連疾患 ◇結節性多発動脈炎 ◇好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 ◇多発血管炎性肉芽腫症 ◇顕微鏡的多発血管炎 ◇大動脈炎症候群(高安動脈炎) ◇成人発症スチル病 ◇側頭動脈炎・巨細胞性動脈炎 ◇リウマチ性多発筋痛症 ◇RS3PE症候群 ◇ベーチェット病 ◇自己炎症性疾患(地中海熱、TRAPSなど) ◇強直性脊椎炎 ◇痛風 ◇乾癬性関節炎 ◇SAPHO症候群 など
検査所見も重要ですが、実際に患者様からよく問診、理学所見をとることが最も重要だと考えております。当科では紹介状の内容や患者様に記入していただく問診票を大変参考にしております。初発の症状、症状が一日の中でいつ強いか、発熱はあるか、関節痛はあればどの部位なのか、左右対称性であるかなどで、検査をする前に疾患を絞り込むことができます。次に、一般的な血液像、血液生化学検査、炎症反応等でさらに疾患を絞り込み、各種自己抗体検査を組み合わせて施行します。また、病態に応じてレントゲンやCT、MRI、エコー、RI検査など画像検査を施行します。疾患、病態ごとに最も適切な検査を迅速に行い、速やかに診断、治療に至ることができるように努めています。
近年、新しい抗リウマチ薬の登場により、治療法が劇的に変化しています。これにより、単に痛みをとることではなく、これまでは到達が難しかった「寛解」すなわち関節リウマチという病気の活動性・炎症を抑え、関節の破壊を防ぐことが目標とできる時代になってきました。
当科でも、関節リウマチに対する厳格な治療を目指した「Treat to Target(T2T)」に基づいた治療を進めています。具体的には早期からメソトレキセートを中心とした抗リウマチ薬を積極的に用いて、発症後、可能な限り短期間で「寛解」を得られるように努めています。これらの治療に抵抗性の場合には、適切な時期に患者様の病態に合った生物学的製剤・JAK阻害剤を選択して導入しています。また、関節の腫脹や疼痛などの症状の軽減には即効性の高いNSAIDs(解熱鎮痛剤)や少量のステロイドを用いて、苦痛の軽減を図っています。
一方で、これらの薬剤には様々な副作用が発現する可能性が知られております。しかし、当科で培った豊富な経験を生かして、副作用の予防と早期発見に努めて、患者様に安全な医療を提供することができるようにスタッフ一同日々研鑽を重ねています。
大学病院の特性を生かして様々な科と連携しながら、診断と重症度を評価した上で、適正な量と種類のステロイドや免疫抑制剤を使用します。これらの重篤な副作用として感染症の合併がありますが、血液疾患治療や免疫不全の患者様への支持療法の経験を生かして慎重に対策をしながら積極的な治療を行っています。挙児希望の方や妊娠された方には病状を評価し、本人やご家族とよく相談しながら治療薬の選択をしています。
症状により、NSAIDs(解熱鎮痛剤)、コルヒチン、免疫抑制剤、必要な場合にはステロイドや生物学的製剤を選択、併用します。眼症状に対しても眼科と密接に連携して治療を行っています。