地域医療支援センターは、熊本県からの委託を受けて、熊本県地域医療支援機構と一体となって県内における医師偏在の解消を目指して、様々な事業を実施しています。
主な事業として、地域の医療機関で勤務する熊本県医師修学資金貸与医師に対し、勤務しながら将来へのキャリア形成が図れるように、勤務先の医療機関と連携した支援を行っています。また、地域医療を志す医学生や若手医師に対しては、教育指導や相談対応など、キャリア形成のために必要な支援を行っています。このように、医師のキャリア形成支援を中心として、これからの地域医療を担う医師を育成するために様々な活動に取り組んでいます。
また、地域医療の提供体制の安定のために、医師不足の地域医療機関への診療支援、地域で必要とされる総合診療医の育成、医療体制の構築に関する取組みも行っています。さらに女性医師や子育て医師の支援についても、就業継続・復職支援、地域で勤務する女性医師等のキャリア形成支援に関する相談体制の構築等、必要な支援を行っています。
熊本県の医療体制の充実度は全国でも有数と言われており、人口10万人当たりの医師数は全国11位(2020年度 厚生労働省調査)です。しかしながら、地域や診療科によって医師の偏在が顕著で、熊本市を除く地域では依然として厳しい医師不足が続いています。
熊本県における医師の地域偏在の解消を目的として、2013年12月に熊本県と本学が協力して設立された「熊本県地域医療支援機構」(2014年4月から機構の事業を熊本大学病院地域医療支援センターが受託)では、医師が地域医療に従事していても計画的に資格が取得できる体制や、医師が地域と熊本市内の医療機関を循環する人事システムの構築、復職する女性医師を支援する活動など、様々な活動に取り組んでおります。
また、県からの寄附を受けて設立された地域医療・総合診療実践学寄附講座において医学部医学科の教育の支援や地域医療に関する調査研究を行っており、同様に県からの寄附を受けて設置された地域医療連携ネットワーク実践学寄附講座においては、ネットワーク構築による医療機能の向上、新たな専門医制度における修学資金貸与医師等のキャリア形成支援、並びにこれらを踏まえての圏域における医療機能の向上に関する調査研究を行っています。
http://www.chiiki-iryo-kumamoto.org/
女性医師キャリア支援センターについては、下記URLを参照願います。
地域医療・総合診療実践学寄附講座は、地域医療システム学寄附講座(前講座)の成果を踏まえて、より実践的な活動を目指す寄附講座として、2016年4月に設置されました。
その目的は「地域医療に関する卒前からの継続的な教育、総合診療(専門)医の育成や地域の医療機関における診療支援に関連する研究を行う」こととされ、これまで「地域医療システム学寄附講座」が取り組んできた実績を踏まえ、熊本県医師修学資金貸与学生をはじめ、全医学科学生に対し、地域医療教育及び総合診療教育を実施しています。さらに地域医療機関に対する診療支援や、2018年度から開始された新たな専門医制度に基づき、総合診療専門医の育成も行っています。総合診療専門医には、今後の地域医療の中心的役割を担うことが期待されています。
◇教育拠点(玉名:くまもと県北病院、天草:天草市立河浦病院)
教育拠点が設置された玉名、天草の各施設には、当寄附講座教員が常駐して活動を行っています。教育拠点では、地域医療を志す医学生や若手医師に対し、実践教育の場を提供するだけではなく、実際の診療を行うことで、地域の医師不足の解消にも寄与しています。
なお、教育拠点の設置病院は次のとおりです。
活動実績はこちらをご覧ください(アニュアルレポートより抜粋)
▼くまもと県北教育拠点
▼河浦教育拠点
地域医療連携ネットワーク実践学寄附講座は、地域医療介護総合確保基金を財源 とした、熊本県からの寄附によって開設された講座です。
熊本県の人口は減少傾向にある一方、75歳以上の人口は2040年まで上昇することから、医師需要の増大が見込まれます。また、今後は、労働環境の不安や医師の専門医志向の高まりから、地域勤務を敬遠する医師が増加する恐れがあり、このままでは、10年後の地域医療を支える若手・中堅医師の確保が困難な状況が予想されます。
これらの地域医療を巡る新たな課題を踏まえ、限られた医療資源を有効活用し、地域の医療機関同士で医師の相互支援を行う体制を構築する新たな取組みを進める必要があります。
このような状況から、本寄附講座では、主に、地域医療拠点病院への医師派遣を通じた圏域内のネットワーク構築による医療機能の向上、修学資金貸与医師等のキャリア形成支援、圏域における医療機関の向上に関する調査・研究を行うことを目的とし活動しています。
活動実績はこちらをご覧ください(アニュアルレポートより抜粋)
※特任教員とは、本寄附講座に所属する職員で、週に1~2日程度、「特任教員派遣先」病院に対する指導又は支援、地域医療の現状分析及び新たな方策の検討、提案、実践や地域で不足する専門医療の提供のため派遣されている医師です。
熊本県の感染症専門医数は全国的にみても少なく、新興感染症によるパンデミックや災害時の感染症まん延に適切に対応していくためには、高度医療人材の育成・確保は喫緊の課題です。
また、熊本県の人口は減少傾向にある一方、65歳以上割合及び75歳以上割合は、何れも2040年まで上昇する見込みであり、今後も感染症対策なども含めた質の高い医療サービスの提供は必須となっています。
感染症対応実践学寄附講座は、熊本県全域で感染症に対応できる医療体制の連携・強化を図ることを目的として、2022年4月1日に熊本県からの寄附により設置されました。
本講座では、感染症専門医(熊本市を除く)を育成するとともに、県内各地域における医療現場の最前線に立つ医療従事者の人材育成を目的としたリカレント教育を実践することで、県全域で感染症に対応できる高度医療人を育成するとともに、熊本県感染管理ネットワークを通して情報を共有し、感染症診療の均てん化を進めることで、ゆるぎない県医療体制の確立へ繋げていくことを目標としています。
活動実績はこちらをご覧ください(アニュアルレポートより抜粋)