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先進医療


先進医療のご紹介

先進医療は、新しい医療技術の出現や医療に対するニーズの多様化に対応して、国が先進的な医療技術と一般の保険診療の併用を認める制度で、保険診療をベースとして、別に特別な料金を負担することにより、先進的な医療を受けやすくしようというものです。本院では現在、次の先進医療Aと先進医療Bの承認を受けています。


先進医療A

抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査

脳神経外科(平成27.1.1承認)

電話
096-373-5219

適応症:悪性脳腫瘍

主な内容:悪性脳腫瘍に対する化学療法は、患者様によって、また病気の進行度等によって抗がん剤への感受性が異なることがわかっています。本検査は手術によって摘出した腫瘍組織から、抗がん剤耐性遺伝子を測定し、その結果により、より感受性があると考えられる抗がん剤を選択することができます。また、感受性の少ない抗がん剤を用いないことで、不必要な副作用を避けることができます。この検査によって、適切な抗がん剤を用いることが可能なため、治療効果が高まることも期待されます。


先進医療B

インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法

血液内科(平成27.6.1承認)

電話
096-373-5156

適応症:成人T細胞白血病リンパ腫(症候を有するくすぶり型又は予後不良因子を有さない慢性型のものに限る。)

主な内容:「成人T細胞白血病リンパ腫」は、ヒトT細胞白血病ウィルス1型(HTLV-1)に感染することで発症する血液のがんです。病態によって「急性型」「リンパ腫型」「慢性型」「くすぶり型」に分類されます。この先進医療は、症候を有するくすぶり型、または予後不良因子を有さない慢性型の成人T細胞白血病リンパ腫の患者様に対して、インターフェロンαの皮下注射とジドブジンの内服投与を行います。インターフェロンαは、ウィルスや腫瘍細胞の繁殖を抑制する薬で、ジドブジンは抗ウィルス薬です。これらを併用することで、症状の緩和、急性転化の防止、生存の延長をもたらすことが期待されます。当初10日間の入院治療から行われ、以降は外来通院による治療が行われます。

テモゾロミド用量強化療法

脳神経外科(平成29.9.1承認)

電話
096-373-5219

適応症:膠芽腫(初発時の初期治療後に再発又は増悪したものに限る。)

主な内容:この先進医療は、膠芽腫が再発または悪化した患者さんに対して、テモゾロミド用量強化療法を行うものです。膠芽腫は、悪性脳腫瘍の中で最も悪性度の高い病気の一つです。手術、放射線療法、化学療法を組み合わせた治療が行われますが、多くは再発します。再発した場合には治療が非常に困難で、予後はよくありません。化学療法では、初発時にテモゾロミド、再発時にはベバシズマブ(いずれも抗がん薬)を用いることが多いのですが、この先進医療では、再発時に、テモゾロミドを薬事承認された用量より多く投与します。欧米の研究では、再発時のテモゾロミド用量強化療法は、ベバシズマブ療法に匹敵する治療効果があることが報告されています。また、初回再発時に、ベバシズマブを用いる前にテモゾロミド用量強化療法を行うことで、初回再発後の生存期間の延長が期待できるという報告もあります。そのため、初めて再発した場合にはテモゾロミド用量強化療法を行い、その後、再発・悪化が見られたときにベバシズマブ療法を行うことで、再発膠芽腫の予後の改善につながると期待されます。

術後のカペシタビン内服投与及びオキサリプラチン静脈内投与の併用療法

消化器外科(平成30.3.30承認)

電話
096-373-5213

適応症:小腸腺がん(ステージがⅠ期、Ⅱ期又はⅢ期であって、肉眼による観察および病理学的見地から完全に切除したと判断されるものに限る。)

主な内容:この先進医療は、小腸腺がんの切除手術を受けた患者さんを対象に、カペシタビンという抗がん薬の内服投与と、同じく抗がん薬のオキサリプラチンの点滴による静脈内投与を併用する療法です。小腸腺がんは、小腸の内壁のすぐ内側にできたがんのことです。小腸腺がんは患者数が少ない希少がんであり、治療の選択肢が限られており、現在は、切除可能であれば単独の切除手術が標準治療とみなされています。そのため、切除手術後に行う治療法の開発が求められています。また、切除できない小腸腺がんにはカペシタビンとオキサリプラチンの併用療法が、すでに事実上の標準治療となっています。小腸腺がんの切除手術後に、服薬と点滴による抗がん薬の併用療法を加えることで、再発を抑えて延命効果を高めることが期待されます。

マルチプレックス遺伝子パネル検査

呼吸器内科、消化器内科、呼吸器外科、消化器外科、乳腺・内分泌外科、婦人科、小児科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、病理部、がんセンター、中央検査部(令和3年4月1日承認)

電話
096-373-5643(医療サービス課内 がんゲノムセンター)

適応症:進行再発固形がん(治療法が存在しないもの又は従来の治療法が終了しているもの若しくは従来の治療法が終了予定のものに限る。)

主な内容:進行再発固形がんにおいて、病気の発症や進行に強く関係する複数の遺伝子について異常を調べ、その情報を基にした治療薬の検討を目的として実施する先進医療(がん遺伝子パネル検査)です。過去に手術や検査等により採取され保存されているがん組織標本を用い、標本から遺伝子を取り出して遺伝子配列の変化を調べます。2019年6月にがん遺伝子パネル検査の一部が保険診療として実施されるようになって以降、検査結果から治療薬の推奨が得られる割合が高くないことが医療上の課題となっていますが、このがん遺伝子パネル検査は、DNAで523遺伝子、RNAで55遺伝子を対象として調べる検査であり、従来のがん遺伝子パネル検査に比べ調べる対象となる遺伝子数が多いことから、治療につながる割合が向上することが期待されます。

反復経頭蓋磁気刺激療法

神経精神科(令和5年1月1日承認)

電話
096-373-5566

適応症:うつ病(急性期において当該療法が実施された患者に係るものであって、薬物療法に抵抗性を有するものに限る。)

主な内容:この先進医療は、急性期の反復経頭蓋磁気刺激療法を受けて症状が改善したうつ病の患者さんを対象に、継続的に反復経頭蓋磁気刺激療法を施行することにより、うつ病の再発予防を目指すものです。うつ病は再発しやすい疾患であり、抗うつ薬の服用継続により再発予防を目指すのが一般的です。しかし、反復経頭蓋磁気刺激療法を受けるうつ病の患者さんは薬物療法に抵抗性を有しているため、抗うつ薬の服用を継続しても再発する可能性が少なくありません。そのため、この先進医療により、急性期に反復経頭蓋磁気刺激療法が有効であったうつ病の患者さんの再発予防の促進につながることが期待されます。

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