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※急患対応 病棟長 大隅 祥暢(火曜のみ 藤野 孝介)
※ただし、祝日および当院の休診日は除きます
呼吸器外科では年間300例以上[2021年ではトータル345例(うち肺癌189例)]の手術を行っており、その50%を胸腔鏡という内視鏡を用いることにより手術によるダメージを少なくし、痛みを軽減しています。また肺癌においては区域切除で手術のダメージを少なくしています。また1cm以下の小さな肺の病変でも胸腔鏡による肺生検により100%の診断率を達成しています。一方、周囲に浸潤する進行肺癌に対しても可能であれば何処の施設よりも積極的に周囲臓器の合併切除に取り組んでいます。
また、気管にある腫瘍は切除と再建術が必要です。それは難しい手術ですが、当科ではその手術を積極的に行い、優れた治療成績を出しています。気道狭窄に対しては積極的にステント治療を行い、速やかに症状を改善します。そして、何よりも大事にしていることが「患者さんへの思いやり」です。
個々の患者様の身になって、相談を受けています。検査、手術を安心して受けることができるために、担当医が本人と家族に十分な説明を行っています。
早期の肺癌ですりガラス状の影のものがあります。CTでこの影の濃度を調べ、悪性度の判定を行っています。また、多列CTを用い、血管気管支の走行を立体的に見ることができ、手術に役立ちます。
現在、FDG-PET(腫瘍のブドウ糖の取り込みをみる。これで腫瘍の悪性度が予想される)は肺癌診療で重要な検査のひとつとなっています。この検査で悪性度の評価およびリンパ節、その他の臓器(脳を除く)への転移を調べることができます。
肺癌の悪性度判定およびリンパ節転移を調べるのに今一番新しい検査です。通常のMRIより若干長く時間がかかります。
通常はのどおよび気管の局所麻酔で、気管支の中の観察および病理学的診断を行います。また、当科では超音波内視鏡を駆使し、肺癌の縦隔リンパ節への転移の有無を調べることができます。
胸腔鏡は他の検査と違い、患部を直接観察し、十分な量の検査材料を採取することが可能です。これで、他の検査で診断のつかなかった肺、縦隔、胸膜の診断をつけることができます。現在、手術中に手で触ってもわからない微小な病変が高性能のCTで発見されています。当科ではリピオドールという造影剤を用いて、マーキングを行い、このような病変の切除を可能にしています。ただし、全身麻酔が必要です。
気管支を使用して、リンパ節転移の有無を調べることができます。
標準的な手術は、肺葉切除といって、片肺の2分の1から3分の1を切除し、気管支の周りのリンパ節も一緒に切除します。I期であれば内視鏡(胸腔鏡)手術により、肋骨や筋肉の損傷なく根治手術を行っています。部分切除、区域切除、気管支形成術といった、肺切除量を減らし、残る呼吸機能を最大限保つような手術も、早期の癌には可能です。内視鏡手術では手術当日に、水、お茶、ジュースも飲め、座ったり、立ったりも可能です。手術の翌日には食事を開始し、病棟を1~2周歩いていただきます。手術後1週間前後で退院可能な状態になります。進行癌では、肋骨、横隔膜、大血管、心臓の一部とともに病巣を取り除くこともあります。特に気管支形成に力を入れており、良好な成績を収めています。また、呼吸器内科と協力し、積極的に術前治療および術後治療を行っています。
気管および気管支の切除・再建および狭窄部を広げるステント治療を行っています。外科治療だけではなく、ステント治療も豊富な経験を有しています。
たくさんの種類の腫瘍が知られています。当科では多数の手術経験を有しています。なお、一部には化学療法が有効な腫瘍があり、生検により診断をつける必要がある場合があります。
重症筋無力症は特定疾患に指定されている原因不明の病気です。治療は、長期に亘る薬物療法となりますが、胸腺を取り除く手術(拡大胸腺摘出術)を先ず行うことによって、治療効果が高まります。比較的稀な病気であり、経験の少ない病院が多いのが現状です。治療中にクリーゼ(突然の重症化)が生じ、集中管理を要することがあります。当院ではこの手術の経験が200例以上あり、全国でも有数の経験豊富な病院です。従って、医師、看護師等医療スタッフは、十分な経験を有しています。また、ご希望があれば、内視鏡を使った手術も行っています。
骨肉腫などの肉腫、大腸癌・肝臓癌などの消化器癌、婦人科癌、乳癌、皮膚癌、頭頚部癌など悪性疾患では、血液の流れに乗って、肺に転移性の腫瘍を生じることがあります。原発巣や他の臓器の転移病巣の治療が順調であれば、肺の病巣を取り除く治療が有効です。当科では身体への負担が少ない内視鏡手術を第一選択にしています。肺の手術の後は、原発巣の治療を行っていた医療機関で追加の治療(抗がん剤、放射線など)を受けることになります。