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特色と取り組み/脳神経内科

脳梗塞に対する最新治療

脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まって脳の一部に血液が流れなくなることで、手足のマヒや言葉の障害が突然起こる病気です。脳には大血管と呼ばれる太い血管と小血管がありますが、特に大血管が突然詰まってしまうと、言葉が出なくなったり、半身マヒになったりします。その結果、重度の後遺症となり普通の生活に戻れなくなることもあります。
このように大血管が詰まってしまった場合には、一刻も早く血管を再開通させることが必要です。


tPAとカテーテル治療、それぞれの特徴と課題

再開通の方法には、tPA(ティーピーエー)という点滴薬による血栓溶解治療や、カテーテルという細い管を血管に通して血栓を取り除く治療(機械的血栓回収療法)があります。血栓溶解薬治療は多くの病院で受けることができるようになりましたが、機械的血栓回収療法はいまだ受けられる病院が限られており、熊本県内でも数施設にとどまっています。


熊本で一番多い専門医がいるからできる、脳の緊急治療

熊本大学病院では、「脳神経血管治療専門医」の数が県内で最も多く、これらの治療を24時間365日行う体制をとっています。さらに、機械的血栓回収療法が必要な患者様について県内の施設から相談があった際に、当院を含む治療可能施設で分担してすばやく受け入れられるように、2017年から「K-Earth Project(ケイ・アース・プロジェクト)」という体制を作っています。また、がんを含む全身のさまざまな病気に関連して脳梗塞を発症してしまった方については、他の病院では対応が難しいことがあります。当院ではそのような患者様に対しても、それぞれの専門科医師と相談しながら、適切に治療を行っています。がんの患者様に対する機械的血栓回収療法が多いのは、当院の特徴です。


脳梗塞の再発を防ぐ!多方面からの治療アプローチ

脳神経外科と協力して、頸動脈内膜剥離術※1や、脳動脈バイパス術※2、開頭外減圧術※3などの治療、また循環器内科に依頼して脳梗塞再発を予防するためのカテーテル治療なども行っています。  このほか、適切な治療方針がまだ定まっていないような脳梗塞患者様に対する治療について、それらを明らかにするために、さまざまな先進的取り組みを行っています。「未発症確認時刻から24時間以上過ぎた脳梗塞患者様に対しても、機械的血栓回収療法をおこなうべきかどうか」についての全国多施設研究を、現在当科が中心になって進めています。

※1=頸動脈を切開し、プラークを除去することで、血流を回復させ、脳梗塞の予防ができる手術
※2=脳の血管が狭窄や閉塞を起こし、血流が不足している場合に、他の血管を繋いで血流を確保する手術
※3=脳の腫れや出血などによって頭蓋内圧が上昇した場合に、頭蓋骨の一部を取り外して脳を外に出し、圧力を逃がす手術

〈この記事は2025年7月1日時点の情報です〉

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