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フォーラム・講演会
フォーラム・講演会等の開催について

「第4回熊本がん治療フォーラム」を開催しました
 平成19年8月31日(金)、午後6時30分から熊本市内ホテルにおいて、熊本県下のがん治療水準の向上を包括的に行うことを目的にフォーラムが開催されました。
座長:野守教授
座長:野守教授
  開会にあたり、世話人の野守裕明教授(熊本大学大学院呼吸器外科学)から、熊大病院が都道府県がん診療連携拠点病院に指定されたことにより、すべての部門が一丸となり県下のがん治療のレベルアップを図り、これまでの活動においてその成果が確実に上がってきています。
今回のフォーラムでは、熊大病院におけるがん治療の取組みを一般講演で取り上げるほか、肺がん診療トピックス及び特別講演によるプログラムにより開催しますので、ブラッシュアップして頂きたい旨の開会挨拶がありました。なお、各講演者の主な講演概要は次のとおりです。

フォーラム会場
フォーラム会場
  一般講演 「チーム医療における薬剤師の責任と役割」と題して、藤井 淳子 薬剤管理指導室長(熊大病院薬剤部薬剤師)から、がん診療おける薬剤師の取組の紹介がありました。
本年4月に薬剤管理指導を実施した469名のうち35%はがん患者で、昨年度呼吸器内科において服薬説明を実施した肺がん患者では、半数以上が70歳以上の高齢者であり、疼痛コントロールが必要な症例、NSAIDsやオピオイド使用が多いという患者背景があり、この結果を踏まえて、病棟でのチーム医療の実践が重要と考え、呼吸器内科緩和ケアチーム設立に参加してカンファレンス活動を行っています。薬剤師は、安心(服薬指導や緩和ケア活動による患者のQOL確保等)、安全(薬歴チェックや抗癌剤の無菌調製等)、質(治験への関与等)の確保の観点から、薬剤部各室毎にがん診療をサポートできるようファーマシューティカルケアを実践し、本院薬剤師としての役割を果たしております。また、薬剤師としての専門性を発揮できると考えていることは、化学療法中の感染症患者に対する抗生剤の投与に関し、薬物血中濃度から測定した結果とシミュレーションによる抗生剤の最適投与量の情報を提供することにより有効に使えることや、薬物相互作用についての機序解明にも関与していくことであると考えています。薬剤師の責任を考える場合には、薬剤師の仕事自体がリスクマネージメントであります。薬剤師は薬の副作用や相互作用の情報を患者に伝えることが重要になってきており、顔の見える薬剤師という意識をもちながら業務を遂行しています。

一般講演 「緩和ケアチームの現状と今後の課題」と題して、高野 いづみ 副看護師長(熊大病院看護部緩和ケア認定看護師)から、熊大病院緩和ケアチームの活動の紹介がありました。
 昨年12月から従来のチームを再編成して、医師、看護師、薬剤師、栄養士による2チーム編成で始動し、患者及びその家族を対象に疼痛緩和のアドバイス等の診療支援を行っています。
緩和ケアの依頼に関しては、昨年度は18部署のうち14部署から依頼申し込みがあり、今年7月までに44件、利用者の平均年齢は58.7歳。始めに緩和ケアを希望する患者の依頼内容を記載した緩和ケア依頼書を病棟看護師が提出してチームに申込みます。担当するチームの看護師が問題点を抽出後、診療計画書が作成された後に、主となる医師の日程に合わせてカンファレンスを開催して対応を検討しています。依頼内容は、痛みの緩和が最も多く、精神的苦痛の相談に及んでいて、診断がつく時期から依頼が可能で、利用頻度は、一人平均4回程度で最多は26回もご利用頂いています。緩和ケアチームの活動内容に関しては、(1)入院患者及びその家族に対する相談業務 (2)緩和ケアに関する検討と評価のため、カンファレンスを開催し、情報交換及び解決策を検討 (3)緩和ケアの啓発と普及のため、院内向けニューズレターを発行し、カンファレンス活動及び勉強会の開催紹介 (4)熊本県がん診療連携拠点病院との連携による勉強会等の開催があります。今後の課題として、(1)月4〜5件程度と依頼が少なく、更なる啓発と普及 (2)在院日数の短縮のため早期からの介入 (3)兼任のチーム活動のため活動時間の確保などを挙げています。

 肺がん診療トピックス 「肺結節良悪性鑑別におけるMRIとPETの有用性」と題して、森 毅 助教(熊大病院呼吸器外科)から、医療機器による癌診断に関する研究について語られました。
 肺癌診断に関して、 (1)肺結節の良性又は悪性の診断において、より有意に偽陽性が少ない。(2)高分子化腺がんは、DWI(MRI拡散強調画像) とPET(陽電子放射断層撮影装置)の両者において診断困難である。 (3)ADC-min (拡散係数の低数値)は、PETの集積度と相関するため、DWIはPET診断の代替になり得る可能性が示唆されることの3点に要約され、研究成果が発表されました。

 肺がん診療トピックス 「肺がんにおけるEGFR-TKIの臨床効果と課題」と題して、浦本 秀隆講師(産業医科大学呼吸器・胸部外科)から、抗癌剤の効果予測について語られました。
 肺癌に異常に多く発現するEGFR(epidermal growth factor receptor:上皮増殖因子レセプター)に対する分子標的治療剤のEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤 (EGFR-TKI) に関して、特定部位のEGFR 遺伝子変異がEGFR−TKIの感受性と強く関連しており、肺腺癌の50%が変異遺伝子による遺伝子癌であり、欧米データは使えず、東アジアデータを使用することになる。EGFR-TKIは、がん細胞の増殖等の抑制に効果があるとの研究成果が発表されました。

 特別講演 「Adjuvant and neoajuvant chemotherapy for early-stage NSCLC」と題して、國頭英夫先生(国立がんセンター中央病院呼吸器内科医長)から、初期段階の非小細胞肺癌に対する術前及び術後化学療法に関する分子標的薬剤の有効性について語られました。
 希望的観測として、(1)Adjuvant Avastin trial ECOG1505(アジュバント アバスティーン トライアル)は、コンプライアンスが悪く、十分な成果を挙げられない。 (2)その他の分子標的薬剤は、進行がんには有効に出ても、術後は毒性が強く使えない。 (3)方法論の進歩により、現在術後病理標本のみで可能な各種分子マーカーが、生検標本でも評価可能になる。 (4) 術前治療の前後で比較解析ができるようになる。 (5)他のがん腫でも、術前治療の有効性が出る。以上の5点に要約され、研究成果が発表されました。
 なお、次回は、倉津教授(熊本大学大学院脳神経外科学)を世話人として、来年1月25日に開催予定。

 プログラム
【一般講演】
司会: 熊本大学医学部附属病院 呼吸器外科 森  毅  先生
  〔熊本大学医学部附属病院における取り組み〕
1.チーム医療における薬剤師の責任と役割:熊大病院薬剤部の取り組み
薬剤部 藤井 淳子 先生
2.緩和ケアチームの現状と今後の課題
緩和ケアチーム ホスピスケア認定看護師 高野 いずみ 先生
 
  〔肺癌診療のトピックス〕
1.肺結節良悪性鑑別におけるMRIとPETの有用性
呼吸器外科 森  毅  先生
2.肺癌におけるEGFR-TKIの効果予測と課題
産業医科大学 呼吸器・胸部外科 学内講師(助教) 浦本 秀隆 先生
 
【特別講演】
座長: 熊本大学大学院 呼吸器外科学 教授 野守 裕明 先生
  『Adjuvant and neoadjuvant chemotherapy for early-stage NSCLC』
国立がんセンター中央病院 呼吸器内科 医長 國頭 英夫 先生

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