遠隔医療診断支援システムの運用開始について
脳卒中の急性期医療体制強化のために熊本県内の6医療機関を中心とした遠隔医療診断支援システム「XMIX」の運用を開始しました
熊本県
国立大学法人熊本大学医学部附属病院
有限会社TRIART
熊本県では、国の平成24年度補正予算において、地域の医師確保、地域医療連携など、地域の医療課題の解決を図るため、平成25年度に熊本県地域医療再生計画(平成25年度策定版)を策定し、その一つとして、県内の脳卒中急性期医療体制の強化を図ることとしております。
このたび、熊本県地域医療再生計画(平成25年度策定版)を活用し、熊本大学医学部附属病院(熊本県熊本市、病院長:谷原秀信)、及び有限会社TRIART(福岡県飯塚市、代表取締役:今津研太郎)が共同開発した遠隔医療診断支援システム「XMIX」(読み方:エクスミクス)を熊本県内の6医療機関に導入し、脳卒中患者の救急対応等を行うため、平成26年7月18日(金)から運用を開始しましたことをお知らせします。
この遠隔医療診断支援システム「XMIX」は、平成24年6月から熊本大学医学部附属病院と阿蘇医療センター(旧名 阿蘇市国民健康保険阿蘇中央病院)において試用を開始していた遠隔医療診断支援システムで、専門医が勤務していない時間帯に救急搬送された脳卒中患者の状態を、離れた場所に居る専門医等に連絡を取ると共に、同時に脳卒中患者の画像情報をiPhoneやiPadで閲覧できるシステムとなっており、これにより必要な助言を専門医から得ながら、脳卒中患者を受け入れた医療機関で治療ができるという画期的なシステムです。とくに迅速な診断と治療が必要となる脳卒中患者を救うシステムとして実績を上げてきました。
このたび、熊本県では熊本県内の6医療機関に遠隔医療診断支援システム「XMIX」を拡大展開し、一人でも多くの脳卒中患者の命を救うべく、活用していくこととなりました。導入医療機関は以下のとおりです。また今後、他の医療機関への展開も図ってまいります。
導入医療機関(五十音順)
- 阿蘇医療センター
- 熊本医療センター
- 熊本再春荘病院
- 熊本大学医学部附属病院
- 水俣市立総合医療センター
- 山鹿中央病院
システムの概要
XMIXは、iPadやiPhoneなどのiOS端末と専用のサーバシステムで構成されており、これらをApple社のFaceTimeと専用開発した放射線画像情報ビューアで情報共有を行います。これにより離れた場所に居る専門医等からの助言を可能にしております。また、各通信経路は独自の技術で強固なセキュリティを確保しております。

図:搬入から搬送(もしくは治療)までの流れ

図:本システムの構成図

図:本システムの画面イメージ
システムの特徴
XMIXは、機能を厳選することで、各医療機関で利用している既存の医療情報システムを改修せずに導入できるものとなっています。これまで遠隔医療システムでは、院内のシステムへの接続に関する開発費用や運用体制などの問題により導入は大病院に限られてきましたが、XMIXは専門医が不在の中小医療機関でも導入しやすいシステムとして設計されています。
本システムと従来システムの比較 | ||
設 備 | 【本】パーソナル機器ベースで軽微 | ◎ |
---|---|---|
【従】専用の機械・装置の配備が必要 | △ | |
導入費用 | 【本】(システム全体で)100万~300万 | ◎ |
【従】(システム全体で)1000万~5000万 | × | |
双方向性 | 【本】リアルタイムで通信可能 | ◎ |
【従】メッセージなど一方通行 | △ | |
使用範囲 | 【本】病院間および病院内・外を想定 | ◯ |
【従】病院外の救急車等とも連動可能 | ◎ | |
他連動 | 【本】脳卒中を想定(他疾患での利用も可) | ◯ |
【従】他疾患、電子カルテと連動 | ◎ |
図:従来のシステムとの比較
セキュリティについて
XMIXでは、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.2版(平成25年10月)」を満たすセキュリティレベルをTRIART社のXCOA(クロスコア)の技術を応用して実現しております。この技術を利用することにより、通信経路の暗号化と分割通信ならびに通信内容の暗号化、端末内における時限性のキャッシュ、認証システムを実現しております。これによりiOS端末の紛失や盗難により、関係者以外の手に渡ったとしても情報を閲覧することは不可能です。また、端末をハッキングしても情報を盗み出すことは不可能です。

図:セキュリティについて