熊本大学医学部附属病院
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医療事故の公表について

本院において、中心静脈カテーテル留置を行うために右側の肘の静脈からPICCカテーテル(ピック・カテーテル)を挿入した際に、誤ってカテーテル内にスタイレット(注記参照)を留置し、その後スタイレットが胸腔内に迷入して胸腔鏡下にスタイレットを取り出す医療事故が発生しました。

今般、患者様の同意が得られましたので、ここに公表いたします。


(経緯)

平成26年4月、産科に切迫早産のため入院中の患者A様(20代の女性)に中心静脈カテーテル留置を行うため、右側の肘の静脈からPICCカテーテルを約40cm挿入しましたところ、翌朝より肩の痛みが出現し、その後左上半身に広がる痛みの増強を訴えられました。痛みの原因を探るため、当日の20時50分過ぎと翌日の0時40分過ぎに胸部X線撮影を行い、20時50分過ぎに撮影したX線では異常に気づきませんでしたが、0時40分過ぎに撮影したX線で胸部にスタイレットと思われる陰影がみられるのに気づき、エコー検査でも同様な所見が確認されました。このため、同日午前4時に患者様とご家族にスタイレットが静脈壁を穿孔して左胸腔内に進んでいると考えられる旨の説明を行い、午前4時30分頃にCT検査でスタイレットの胸腔内迷入とその位置を確認した後、患者様とご家族の同意を得て、同日午後1時頃に約2cmの皮膚切開を3ヶ所加え胸腔鏡下にスタイレットを摘出しました。


(原因と再発防止)

医療安全調査専門委員会を設置して調査を行った結果、カテーテル挿入後に本来抜去すべきスタイレットを誤ってカテーテル内に残したままカテーテルを留置したことが直接の原因であり、実施医が使用するカテーテルについての十分な基本知識を持たずにカテーテル挿入を実施したことが本事案発生の要因と判断されました。

同様の事案の発生を防止するため、病院長はただちに「中心静脈カテーテル挿入は実地講習会を受講した医師、もしくは受講医師の指導下に行う」ことを院内に通知し、医療安全管理部は「PICCカテーテル使用における注意喚起」を全部署のリスクマネージャーに通達しました。その後、医療安全調査専門委員会の提言に基づいて「中心静脈カテーテル施行認定制度等に関するワーキンググループ」を設置して、認定制度の制度設計、中心静脈カテーテル挿入・管理マニュアルの改訂、中心静脈カテーテル挿入時の共通同意書の作成、院内で使用できるカテーテルのリスト作成などについて検討し、平成27年度より院内の中心静脈カテーテル施行認定制度を発足し、医師に対する指導・教育の徹底を開始しました。


「病院長コメント」

今回、このような事案が発生し、患者様とご家族の皆様に多大なご迷惑とご心労、ご心配をおかけいたしたことにつきまして、心よりお詫び申し上げます。医療安全調査専門委員会の答申を真摯に受け止め、再発防止に務める所存です。

(注記)スタイレットとは、PICCカテーテルを円滑に挿入するために、あらかじめカテーテル内側に納めてある金属製のガイド用ワイヤーで、カテーテルを挿入して固定する際には抜去することになっています。

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